Blue Peace---bleeding, decaying and crying

（悲しみの平和—血を流し、衰え、泣いている）について

　２０１５年　第４４回北海道陶芸展、文部大臣奨励賞受賞

「Blue Peace」、６０x６０x６０cm

※４つの小品で構成、それぞれ４０x１５x２８cm、４５x２１x３３cm、３４x１７x４７cm (２個)

　この作品には個人的事情と情勢が反映しています。３・１１の原発事故後、原爆で亡くなった叔父を思い、子を失った祖父母、弟を亡くした叔母達の悼みを思うことが多くなりました。叔父は学徒動員で建物疎開作業中、同級生と共に被曝しました。祖父は叔父を探し出し、焼けた街を６−７kmもおぶって連れ帰りました。けれども全身火傷で顔も腫れ上がった叔父は８月９日に亡くなりました。その時に祖父が見た情景を思い描き、作品にしました。更に前年は叔母が、被曝後遺症の白血病前状態になりました。以上の個人的事情に加え、安全保障をめぐる法案についての報道（核抑止力是認）に、私は揺さぶられました。

　表題のブルーピースのブルーは青いという意味ですが、気持ちがブルーになるという時の悲しいという気持ちを込め、練り込みの花で表現しました。ピース（平和）とは戦争で殺されることを考えないで暮らせること、この時代の日本に生まれたから享受できていると思います。それは二次大戦で亡くなった人たちの上に、さらに今も外国で殺されている人たちの上に成り立っているのだとしみじみ感じつつ、平和の行方を案じています。思いは溢れてまとまらず、拙く泥臭い作品です。