凍裂（とうれつ）Frozen and Torn

（2022・7北海道陶芸協会第50回陶芸展出品）

　ロシアのウクライナ侵攻が始まったのは、2022年2月だった。こんなことが許されるのか？3年前のクリミア併合の時も、唖然とした。大きな抗議が起きてこないことに違和感を持ちながらも、自らはなんらの行動も取らず、忘れてしまっていた。

　2月にロシア軍のウクライナ侵攻が始まった頃の札幌は、厳寒の最中だった。ロシア軍の侵攻に恐怖で心も凍りついた。その心に聞こえてきたのは、樹々が凍りついて避ける音だった。あちらでも、こちらでも、樹々が凍てバーンと裂ける。その音と爆撃の音が重なった。建物が壊れ、人が焼け、戦車が動き回る。戦いは広島に至る入り口のように見えた。第二次世界大戦の入り口、1937年の満州で起きたことも重なって見えた。

　作品は、凍て裂けた木の切り株を中心とした。裂けた切り株の内側に、氷の棘を交叉させ、戦車と子供の頭蓋骨を配置した。切り株を中心に、市街地や野原が広がる。市街地の家や建物は破壊され、野原に戦車が群れ、子供の頭蓋骨が散らばっている様子を描いた。